松浦玲『新選組』岩波新書(岩波書店)

仏像評価 7.5
PEACE MAKER 鐵』を観る(読む)にあたり、歴史上の新選組*1について一通り読みたいと思っているところにタイミングよく本書が出たので買って読んでみました。新選組についてまともに本を読んだのは中学生の頃以来でしょうか。私は歴史好きといっても世界史偏重なとこがあります。
私のように薄れてしまった記憶を再び呼び覚ますために読んだり、初学者が新選組の誕生から終焉までの流れを知りたいと思って読んだりする分には、本書は適切だと思います。
本書の特色は新選組局長・近藤勇の書簡を特に重要視していることです。土方、沖田人気はよく知られたことですが、本書の「はじめに」でもそのことには触れられています。
以下、松浦『新選組』「はじめに」から抜粋。

 ところが今の新選組研究においては、この近藤勇の長い手紙が十分には活用されていない。ここ三十年ぐらいの新選組研究は土方歳三沖田総司に偏っている。それには理由があって司馬遼太郎の小説『新選組血風録』と『燃えよ剣』、これを原作として結束信二が脚本を書いた同名の二つのテレビ映画、その主人公が土方歳三だった。テレビ映画では土方歳三栗塚旭沖田総司は島田順司。共に当たり役で、土方については原作通りの、また沖田については原作に込められているものを遥かに上回る爆発的人気を呼び起こした。
 念のため年を示しておくと、両原作の刊行と『新選組血風録』の放映が1960年代の半ば、『燃えよ剣』の放映は1970年(昭和45)である。いま新選組研究の“最前線”を担う人たちの多くは、司馬作品やテレビ映画で新選組のファンになり、土方や沖田また他の多彩な人物群の研究にのめりこんでいったと自認する。

新選組研究は現在ではノンフィクションに徹する研究に転換完了したものの、未だに近藤勇の書簡は冷遇されているらしい。

*1:新選組」か「新撰組」か、という議論がありますが、私は今日この場では書籍のタイトルに従い「新選組」を用います。