塩野七生『ローマ人の物語12 ユリウス・カエサル ルビコン以後[中]』新潮文庫、2004年

仏像評価 9
ローマ人の物語 (12) ユリウス・カエサル ルビコン以後(中) (新潮文庫)
紀元前49年1月〜前44年3月。
内乱を平定したカエサルは終身独裁官に就任、ローマは事実上の「帝政」へ。カエサルがなろうとしたのは「王」ではなく「皇帝」(やがて「カエサル」そのものが「皇帝」を表す言葉になる)である。「王」とはある民族の長であり、「皇帝」は多民族多言語の国家の第一人者である。また、「皇帝」は元老院階級・騎士階級・平民階級全ての権利を守る者とカエサルは考えていた。市民集会や護民官を有名無実化していったのは、なにも平民階級の権利を剥奪しようというわけではなく、効率を考えてのことだった。ちなみにこの終身独裁官就任と同時に7月は「ユリウス」(英語なら「ジュライ」)となったそうな。
小カトーやラビエヌスといったカエサルの対抗勢力は次々と退場。カエサルと同年代では残ったのはキケロくらいか。キケロの書簡を読むと、ますます彼に親近感を抱く。
カエサルは次々に改革を進め、ローマの成長に追いついていないといわれた諸制度を整備する。
絶対権力者となった後にも、カエサルは敵対者を許す「寛容」の精神を忘れてはいない。内乱でもその後の改革でも、虐殺は起きていない。その点が恐怖による支配を行ったスッラとの違いであった。しかし、自らに剣をとって立ち向かった者をも許し、使えるものは体制の中に組み込んでいくカエサルのやり方には非常に困難が伴うし、カエサルの思想を理解する同時代人は部下を含めてほとんどいなかったといってよい。
パルティア遠征の準備中に、カエサルは暗殺される。この巻はそこまで。
カエサルは本当に魅力的なキャラクターですね。